• 検索結果がありません。

2016年度市民共創教育研究センター「都市の共同性研究会」報告書 報告書 | 茨城大学 人文社会科学部

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "2016年度市民共創教育研究センター「都市の共同性研究会」報告書 報告書 | 茨城大学 人文社会科学部"

Copied!
151
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

茨城大学人文社会科学部市民共創教育研究センター研究報告書

まちづくりと市民協同性

2018

3

(2)

目 次

1 研究の趣旨と概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 斎 藤 義 則

1

2 NPO 法人くらし協同館なかよしにおける地域活動と市⺠協同性・・・・・ 塚 越 教 子

4

3 ⾒守り活動にみる市⺠協同性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 古 山 均

22

4 勝手にユニバーサル・ビーチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 足 立 正 俊

36

5 常総市での災害復興と人的多様性を活かしたまちづくり・・・・・・・・・ 横 田 能 洋

58

6 ドイツにおける協同性について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 中 田 潤

78

─その歴史と現在ヴォバーン地区を題材に─

7 市⺠社会による不発弾処理活動にみる協同性への課題・・・・・・・・・・ 蓮井誠一郎

97

8 戦後の越え方と地域─協同主義に関連させて─・・・・・・・・・・・・・ 雨 宮 昭 一 118

(3)

研究の趣旨と概要

はじめに

本研究報告書は、茨城大学人文社会科学部市民共創教育研究センターが、市民参画型ま

ちづくりにおける市民協同性の実態を明らかにし、その現代的意義を検討するために行っ

た「都市の共同性」 1

研究会(2016 年度)での報告と議論をまとめたものである。

大学は、それぞれの研究者が研究と学生の教育を通じて社会に貢献することが使命であ

る。さらに、知の拠点として地域の多様なステークホルダーと共に知恵と労力、 時間を出

し合って、地域の新たな価値創造にむけて「共創」することが強く求められている。

本研究は、大学研究者が地域で地域課題の改善と解決に取り組んでいるNPO 法人などの

市民組織と共にその活動の意義と課題を共有し、目標とする市民社会の実現に向けて議論

したことに重要な意義がある。

自由主義と協同主義をめぐって

自由主義と協同主義をめぐる議論は多岐にわたるが、これらは共時的存在としてあり、

その関係と割合の変化として歴史を見ること、普通の生活に即して問題を考えること、超

長期的な視点で問題を考えることの必要性が指摘されている 2

。現代社会における新しい

格差の克服を高度経済成長によるストックの活用と合わせて考えることの必要性も指摘さ

れている。

歴史の螺旋的循環過程として自由主義と協同主義の割合から時期区分することは有効で

はあるが、普通の生活に即していつの時代にも存在する協同主義が、戦後日本においてど

のような内容を持って存在し変容してきたのか、実態に即してその質的変化を分析するこ

とはほとんど行われていない。

1960 年代の反公害市民運動、1970 年代半ば以降に全国展開した市民参画型まちづくり

は脱戦後体制における新たな協同主義としてどのような内容を持ち、どう評価することが

できるのか。そして人口と経済、空間など多くものが減少することが予想されている縮小

型社会において、これまで蓄積されてきた多様なストックを活用し共有することで新たな

生活の豊かさを創るために市民協同性はどのような役割を果たしうるのか、本研究の視点

である。

1970年代以降の市民参画型まちづくりの展開

1970 年代半 ばに おける 島田 市総合 計画 の策定 過程 で行政 と専 門家が 主導 するト ッ プ ダ

ウン方式の計画策定方式に疑問が提起された。そして市民参画によるボトムアップ方式へ

の計画策定手続きが提案され、市民参画型まちづくりが全国に普及する契機となった。

ト ップダ ウン 方式は 国家 主導に よる 産業経 済振 興を優 先し た国土 計画 と都道 府県 計画が

先に策定され、これらを受けて市町村の全体計画が策定された。小学校区などの地区レベ

ルの計画は最後に策定され、全体から部分へと計画する策定方式であった。これに対し、

(4)

いのかという疑問が提起された。市民参画により地区レベルの生活環境整備に重点を置き、

それらの計画を統合・調整し、部分から全体を計画するボトムアップ方式が提案されて全

国に普及した。

ト ップダ ウン 方式が 地域 特性を 軽視 して自 然地 形や既 存の 都市基 盤を 更地に して 開発す

るのに対し、ボトムアップ方式は地域のストックである自然環境、都市施設、まちなみ、

道路など活かせるものは活かし、有害なものは除去し、修復できるものは修復し、良いも

のは保全して活用する。ここには縮小型社会におけるストック活用による新たな生活の豊

かさを創造するための多くのヒントが込められている。

トップダウン方式は計画策定の主権が国家と都道府県にあり、ボトムアップ方式は市民

と地区にあるのが特徴で、社会科学的にはジャン・ボダンの国家主権論とアルトゥジウス

の市民主権論に対置することができるかもしれない。

まちづくりにおける市民協同性の変容

1970 年代あたりから戦後体制にひびが入り始め

3

、戦後の自由主義重視から協同主義へ

シフトする。

まちづくりにおける市民協同性の変容は、1960 年以降おおむね3 期に時期区分すること

ができる。

1960年代から70年代半ば頃までは、対抗的まちづくり運動を推進するための市民協同

性が特徴であった。公害に対する対抗的な市民運動に加え、1969 年国民生活審議会コミュ

ニティ問題小委員会が「都市化にともない、地域共同体が形骸化、空洞化しており、開放

的かつ自主的なコミュニティの構築が必要 」であるとの認識から『コミュニティー生活の

場における人間性の回復』報告書を提出するなど経済成長のための開発優先主義に対する

疑問とコミュニティ再生への動きが始まったのもこの時期である。この時期は、いわば市

民協同性による対抗的まちづくり運動とコミュニティ再生への認識が高まった時期である。

70 年代初頭から2000 年頃までは、居住環境改善型まちづくりを推進するための市民協同

性がその特徴である。自然環境保全、歴史的まちなみ保全、住工混在地区や木造密集市街

地の居住環境改善など地区まちづくりが中心であった。利害関係者と一部の関心ある市民

が特定テーマを対象にして市民協同性によるまちづくりを全国で実践している。

2000 年頃以降の市民参画型まちづくりは、総合的なコミュニティ経営を推進するための

市民協同性が特徴である。中核となる事業や活動はあるものの、その単一目的だけの実現

にはこだわらず、地域の多様な課題を掘り起こしながら活動が関連づけられて複合化、総

合化されている。活動の構成メンバーも特定の市民に限定されず、行政、企業、NPO 法人

など多様な地域のステークホルダーのパートナーシップが形成されている。

本研究報告書に掲載した認定NPO法人茨城NPOセンター・コモンズ、NPO法人くらし協同

館なかよし、茨城県生活協同組合連合会、大洗ライフセービングクラブの4 団体の活動は、

(5)

市民協同性からコミュニティの自治・経営への展開

2000 年頃以降の市民参画型まちづくりにおける市民協同性は、市民の個の自立と多様な

ステークホルダーとの連帯により成立している。近代社会がめざした一つの理念である「個

の自立と連帯」が 21 世紀初頭のまちづくりにおいて伸張するのは歴史的に皮肉な面もあ

るが、現代社会が「脱近代(ポスト・モダン)」を強調するあまり歴史の継続性と重層性を

軽視することに警鐘を鳴らすものでもある。自由主義と協同主義が共時的に存在し歴史的

に螺旋状に展開するとすれば、21 世紀初頭の市民参画型まちづくりにみられる市民協同性

の特徴を固定的に過大評価することは避けなければならないが、この時期の市民協同性が

市民主導のコミュニティの自治と経営へ展開する可能性を有していることは疑いがなかろ

う。

こ の研究 報告 書が、 市民 参画型 まち づくり にお ける市 民協 同性が より 深化し 普及 するこ

と に寄与 し、市 民主導 によ るコミ ュニ ティの 自治 と経営 の推 進に貢 献す ること を願 うもの

である。

茨城大学人文社会科学部

特任教授 斎藤義則

1

研究会では「共同性」と表記したが本研究報告書では「協同性」と統一した(雨宮氏報告論

文と一部を除く)。

2

「戦後の越え方と協同主義」雨宮昭一、獨協法学 第百号、2016 年8 月

3 前掲

(6)

NPO

法人くらし協同館なかよしにおける地域活動と市民協同性

塚越教子

斎藤:都市の共同性研究会を開催したいと思います。主旨を簡単に説明しますと、市民社

会をつくることが非常に大事な時代になっています。国では地方分権など多くの制度改革

が検討されているわけですが、地域社会では NPO をはじめとする市民組織が地域の人々

と協同しながら多様な地域活動を行っています。これらの市民活動は、地域自治を実質的

にやっているのではないかと考えています。そういった活動をされている NPO の方々や

ボランティア活動に携われている方々にお出で頂いて、どんな活動をされ、どんな協同性

が形成されているのか、私たちがどのように支援すれば市民社会をつくることができるの

か、そんな研究会をやろうというのが趣旨です。

本日お話いただく塚越教子さんは、ここにおられる方々にはご紹介するまでもないので

すが、ひたちなか市の馬渡地区でスーパーが閉店してしまった時に市民を中心に商店経営

をはじめられました。商店経営だけではなく多様な地域活動をやっておられ、いわばコミ

ュニティセンターの役割を果たしておられます。問題もおありになると聞いておりますの

で、活動の現状とどんな課題がおありになって、どのように解決すれば私たちが考えてい

るような地域自治に展開していくことができるのか、ということを議論していきたいと思

います。

塚越:みなさんおはようございます。隣の市のひたちなか市から参りました塚越と申しま

す。私たちの活動が研究会のテーマになるとは予想もしていませんでしたけど、皆さんの

研究にお役に立つことができればということで、発表させていただくことになりました。

資料などもお配りしていますので、これからの研究会の発展のために、私たちの活動を活

用していただいて、ますます地域が豊かになるようにご期待申し上げております。

本日お配りした資料なのですが、これはお客様用全てに配っておりまして、1,2頁目は

毎日やっている販売で、3、4頁は定期的にやっていることです。あとでパワーポイントで

写真ご説明します。その次は、市民講座やシルバーリハビリ体操が上のほうにございまし

て、市民講座は現在35 グループ、午前午後の両方で5,300 人ほどが利用します。あとは

資料についておいおい説明していきます。この三枚つづりの、くらし協同館設立ミッショ

ン、なぜ立ち上げることになったか、どういうことを目的にしているのか、というもので

すね。その裏側ですが、これも皆さんのテーマになっています、地域との連携性、関係性、

事業概要図がございます。ここで私どもが斎藤先生からいただいたテーマといいますか、

どういう事業者や地域と連繋を持っているのかということの説明図です。一番私どもが経

済的にやっていられるのは、生協パルシステム茨城というところの建物を借りておりまし

て、そこが通常でしたら月間 20 万円くらいの家賃を払わなければいけないと思うのです

が、7 万くらいで借りております。そのような事業者の協力というものが私どもの事業の

継続に非常に役に立っておりますし、また農産物などの商品の提供で、農業者、漁業者と

書いてあります。これも大きな関係性ですね。そして左側の一番下、地域住民のボランテ

ィアですね。これがなくては私たちはやっていけません。後で詳しい説明はですね、3 枚

目にどういう活動に何人参加しているのかというのが載っておりますので、こちらのほう

もご参考になさってください。各分野ごとに人数が年間、どれくらい来館者があって、ど

(7)

なのかというところなのですが、私どもは行政の仕事を請け負うだけの力がございません

で、委託事業などは請け負っておりません。まさに自分たちの力で運営しているところで

すね。それから右側の、自治会とはどうなんだというところで、これは課題が多いところ

なんですが、いま自治会もですね、私どもの自治会もやっと運営しているところです。役

員さんになる人がいなくて、抽選で会長を決めようと言っている状況です。今までやって

いた事業、たとえば夏祭りなどは全て止めておりまして、市の広報の配布とか、あるいは

三世代交流とか、敬老会とか、市との関係でどうしてもやらなければいけないもの、ある

いは社会福祉協議会との関係でやらなければいけないものだけで、一緒にやりましょうと

声をかけても「えー、もう限界です」という感じで、なかなか進まず、私たちがなるべき

自治会でやることを応援しようかという方向で進んでおります。

それから、その下に社会福祉協議会、民生委員と書いてございますけども、もちろん社

協や行政の各部・課とは連繋をとっております。それから各種の専門資格を持った方も、

大いに力と実績を生かしてもらっています。それから組織図のほうをつけておきました。

これも、総会と幹事さん2名、そして三つの目的が掲げてあります。下に業務推進会議と

ありますが、理事会に次いで業務の細かいところを決めていく感じで、8 名で構成されて

います。その下が事務局で、事務局長が 1 名、その下が総務担当と庶務担当、経理担当、

広報担当がそれぞれ1名という形で分担しています。この事業を年間支えておりますのは

ボランティア組織で、8 つのチームに分かれております。有償と無償は選ぶことができま

す。トップには先ほどの理事が1名づつ就いて調整をしております。そういう中で活動を

しておりまして、年間のボランティアの数は延べ7,000名を超えております。あと詳しい

説明は、さきほどの裏側の、くらし協同館の各事業に関わる利用者の人びとというのもつ

けておりますので、ご参考いただければと思います。左側に書いております(1)(2)(3)

というのは、私どもの各事業分野ごとに、私どもが一番はじめ必要とされましたのは、こ

の食の支援事業なんですね。先ほども斎藤先生のほうからお話がありましたように、スー

パーが全て閉店になり、あるいは食に関する店も金融機関も全て撤退してしまった中で、

残っていた生協のスーパーですので、これはどうしても食の支援をしなければならないと

いうことで、食の支援、健康活動、市民活動、お楽しみ行事など、みんなが元気で仲良く

暮らせるようにということでやっている事業で、これだけの人たちが関わって年間回って

いるわけですね。その下のほうは、その他にも様々、随時、特に資格がない人でも参加し

ていますけど、様々な資格を生かしてやっていただいております。

茨城大学との関係については、フードデザートの関係でお世話になって、色んなアンケ

ートもとっていただきました。3年か4年前になりますかね。それから、今年人文学部か

ら卒業された方ですが、「なかよし」をテーマにして卒論を書かれた方がいらっしゃいまし

た。本当に私感動しました。みなさんのような若い方が、協同館なかよしをこのように分

析し、きちんと就職をされたようでございます。本当にうれしいことでございます。今年

市役所のほうに、学部はちょっとうかがわなかったのですが、就職されてですね、今4年

生で理学部とお聞きしましたけど、「塚越さん、さすがにボランティアに行けません」とい

うので、私も「学業のほう頑張ってください」ということで今休んでいますが、ボランテ

ィアを希望してやってくださった方もいらして、本当に「なかよし」って凄いところだな

あと思いました。このように、高齢者だけを対象にしているのではなくて、様々な人が関

わっている「なかよし」でございます。

あとはニュースですね。特売とか、皆さんからみれば見栄えのしないニュースなのです

が、1週おきで3,300部発行しております。それから20人くらいの広報部員が手配りでポ

スティングをしています。なかなか NPO 法人と言いますと、ひたちなか市あたりでも浸

法人くらし協同館なかよしにおける地域活動と市民協同性

塚越教子

斎藤:都市の共同性研究会を開催したいと思います。主旨を簡単に説明しますと、市民社

会をつくることが非常に大事な時代になっています。国では地方分権など多くの制度改革

が検討されているわけですが、地域社会では をはじめとする市民組織が地域の人々

と協同しながら多様な地域活動を行っています。これらの市民活動は、地域自治を実質的

にやっているのではないかと考えています。そういった活動をされている の方々や

ボランティア活動に携われている方々にお出で頂いて、どんな活動をされ、どんな協同性

が形成されているのか、私たちがどのように支援すれば市民社会をつくることができるの

か、そんな研究会をやろうというのが趣旨です。

本日お話いただく塚越教子さんは、ここにおられる方々にはご紹介するまでもないので

すが、ひたちなか市の馬渡地区でスーパーが閉店してしまった時に市民を中心に商店経営

をはじめられました。商店経営だけではなく多様な地域活動をやっておられ、いわばコミ

ュニティセンターの役割を果たしておられます。問題もおありになると聞いておりますの

で、活動の現状とどんな課題がおありになって、どのように解決すれば私たちが考えてい

るような地域自治に展開していくことができるのか、ということを議論していきたいと思

います。

塚越:みなさんおはようございます。隣の市のひたちなか市から参りました塚越と申しま

す。私たちの活動が研究会のテーマになるとは予想もしていませんでしたけど、皆さんの

研究にお役に立つことができればということで、発表させていただくことになりました。

資料などもお配りしていますので、これからの研究会の発展のために、私たちの活動を活

用していただいて、ますます地域が豊かになるようにご期待申し上げております。

本日お配りした資料なのですが、これはお客様用全てに配っておりまして、 , 頁目は

毎日やっている販売で、 、 頁は定期的にやっていることです。あとでパワーポイントで

写真ご説明します。その次は、市民講座やシルバーリハビリ体操が上のほうにございまし

て、市民講座は現在 グループ、午前午後の両方で 人ほどが利用します。あとは

資料についておいおい説明していきます。この三枚つづりの、くらし協同館設立ミッショ

ン、なぜ立ち上げることになったか、どういうことを目的にしているのか、というもので

すね。その裏側ですが、これも皆さんのテーマになっています、地域との連携性、関係性、

事業概要図がございます。ここで私どもが斎藤先生からいただいたテーマといいますか、

どういう事業者や地域と連繋を持っているのかということの説明図です。一番私どもが経

済的にやっていられるのは、生協パルシステム茨城というところの建物を借りておりまし

て、そこが通常でしたら月間 万円くらいの家賃を払わなければいけないと思うのです

が、 万くらいで借りております。そのような事業者の協力というものが私どもの事業の

継続に非常に役に立っておりますし、また農産物などの商品の提供で、農業者、漁業者と

書いてあります。これも大きな関係性ですね。そして左側の一番下、地域住民のボランテ

ィアですね。これがなくては私たちはやっていけません。後で詳しい説明はですね、 枚

目にどういう活動に何人参加しているのかというのが載っておりますので、こちらのほう

もご参考になさってください。各分野ごとに人数が年間、どれくらい来館者があって、ど

(8)

透しないでですね、今まで生協のお店だったところが何をはじめたのという感じで、なか

なか市民生活に受け入れられませんでした。それで私どもは、NPO 法人というのはこう

いうことをするんですよと、市民の支援がないとやっていけないんですよということを皆

さんに知らせつつ、共感を得つつ、参加していただいて事業を進めようということで、と

にかく知らせようと言うことで、これだけは発刊以来一度も休まず、一番新しいもので280

号になります。

では日頃の様子を写真でご紹介したいと思います。ここに出てますのは、当館の方たち

と、みんなこんな形でやっていこうね、というテーマです。食べること、そして触れ合っ

て、支えあって、みんなで生きがいを持って、みんなで元気で暮らせる町をつくりましょ

うね、ということではじまった事業でございます。

それでなぜオープンしたのかということなのですが、先ほどもお話しましたように、私

どもは、40 年前にこの住宅団地に入居しました。30 歳代で家を持ち、子どもを育てるた

めに住宅団地に入居したわけです。ご存知のようにひたちなか市は、日立製作所や原研関

係の研究所がたくさんありまして、ちょうど高度成長期、私どもが働き盛りの頃は、ひた

ちなか市にはこういう大規模な住宅団地が造成されていました。私どもが住んでます本郷

台団地、東中根団地と言いますのは、本当に設備も整って、様々な生活に関連する機能も

そろっていまして、あこがれの住宅団地だったわけです。しかもそこに生協の店がありま

した。今は生協の店は普通になりましたけど、その頃は茨城でも 1、2 番目に古い、県の

生協運動に大きく貢献した店です。そのスーパーが最後まで残っていたのですが、ついに

赤字で閉店せざるを得なくなりました。13年前のことです。私は今75になりますが、そ

の困った人の年代だったわけです。もう遠くまで歩けませんし、車に乗れなければ買い物

に行けません。近くに昭和通りという、大きなシンボルになる道路があるのですが、そこ

にもスーパーはあります。ひたちなかはスーパーの激戦地ですから、スーパーはいっぱい

ありますし、車に乗れれば行けます。だけどすぐに、ほとんどは買い物難民になったわけ

なんですよね。食べ物が買えないということは生きていけないということなんですね。子

どもに近くにいるから一週間にいっぺん買い物にしているという方はもちろんいますけど、

ほとんどの方は子どもが県の内外に流出してしまって近所に住んでいません。近所のお店

というのは、ただ買い物を買うだけではなくて、これは生協の店が閉店になって強く感じ

たことなんですが、近所の人に会う場がなくなるんですよね。そこで買い物に行って、誰

かと立ち話して、元気だったのとか、情報交換をしていたわけですけど、それも大きな声

として上がってきたんですね。もちろん、ここで生活していくことに対する不安や孤独感

を非常に問題視しました。それで、生協は 30 年もお世話になった店を簡単に閉めようと

思っていたのですが、これは無視できないということになりまして、NPO 法人にして、

住民の代表と生協とをどういう風に地域のために生かしたらいいのかという検討委員会を

早速立ち上げたんですね。私がどうして携わったのかと言いますと、たまたま生協の店舗

担当理事を仰せつかっておりまして、そのこともありまして、自然と生協と地域とのつな

ぎ役になりました。

生協の中でボランティアメンバーになっていた方が、私を含めて 15 人くらいいたまし

た。生協は地域活動としてボランティアを必ずやります。お店の中で、試食活動とか、産

直活動か、青空市などを手伝っていたメンバーがいたもので心強かったのですが、生協は

当然ながらNPO 法人にすることには関わりませんでした。そこで素人の私どもが、じゃ

あどのようにしてこの大きな建坪150~160坪で売り場面積100坪を生かしていくかとい

うことで、住民にアンケートをとりました。そしたら断然、食べ物を売ってくれというの

(9)

飯を食べられるようにしてくれとか、おいしいコーヒーを飲める場所をつくってほしいと

か、それから家の近くじゃないと趣味講座も体操もできないから行ってほしいとか、そし

て子どもに友達がいなくて遊ぶ場所がないということで子どもの遊び場もつくりましょう

ということになりました。そして福祉作業所の製品というのが、意外に常時販売が難しい

ということを以前から聞いておりましたので、いい場所を確保して毎日販売できるように

しました。このように皆さんの様々な要望を元に、様々な施設をつくったわけです。

このような案ができた段階で、生協さんも支援をしましょうと言ってくれて、それでは

どの程度の支援ができますかという話になって、700 万円の改装資金を出しましょうとい

うことで、今の「なかよし」ができました。改装資金の700万円は、看板や塗装でほとん

どを使い、他には冷蔵庫と、みんながくつろぐ場所が必要だよねということで、テレビを

二台買って使いきりました。私どもの住民のアンケートの要望に基づく「なかよし」がこ

うしてできたわけです。アンケートの中では、働く人をどうするのかという声もありまし

て、15人はいたんですが、毎日やることはできないので募集をしました。そのなかで私ど

もが始まるきっかけとして力づけられたのは、「これから高齢化する地域で、これは非常に

大事な施設になるからぜひ始めてください、応援しますよ」という声が届いたことです。

私どもの検討委員会でも半分は反対でしたから。「こんなこと素人がやっても危険よ、ぜっ

たい長続きしない」と。「700万円もらっても、1年でやめたら塚越さんどうするんですか、

返済しなくていいんですか」と、皆さんそこまで心配してくれました。それだけ素人が毎

日お店を広げることは危険が伴うことだったのだと思います。しかし私どもは住民の熱意

に押されまして、高齢化する地域で食の問題を解決する場所をつくらないと大変なことに

なるということで、お店を開いたわけでございます。

これは、私どもがNPO法人として決めた事業の目的と目指すことです。第1に、食の

支援と健康維持、これを一番に持ってきました。介護のお世話にならないような高齢者に

なりましょうというものです。第2に、みんなで触れ合って、支え合っていきましょうと

いうものです。そして第3には、どうせ地域産業になるのだから、地域産業の支援になる

ようなものをやろうと、そして食の安全をモットーにしていきましょうというものです。

次にくらし協同館なかよしはどんな所かということで、左上の写真が私どものお店です

が、40 年前に建てたものなので、駐車場もありません。これが今ネックになっています。

その前の道路は、那珂湊や大洗に行く近道なので、年寄りが横切ることができません。店

舗はそういう場所にあります。右上の「食の支援」という写真は、様々な地場野菜、お豆

腐、納豆、牛乳すべて備えなければなりませんので、いまだいたい55件くらいの生産者、

事業者さんと委託販売契約を行っています。いま JA さんが道の駅でやっている直売所方

式をお手本にしました。参考までに申し上げますと、手数料は 13%です。「なかよし」に

入る手数料の額は多くありませんので、販売しないと儲けがでないわけです。それから右

下のお惣菜コーナーの写真ですが、高齢になってきますとどうしても調理が大変になって、

材料をたくさん買っても不経済で無駄になってきますので、どうしても必要なものという

ことで当館では非常に重視しています。いま揚げ物から和え物、煮物、弁当など全て出ま

して、二十品目で金額にして 5、6 万円を売り上げています。直営のお惣菜があり、店舗

の中でつくっています。大変喜ばれております。写真に写っている男性は奥さんを亡くさ

れまして、「なかよし」に毎日来られていて、お昼ご飯は「なかよし」と決めていまして、

これは帰りに明日の朝と夕食のお惣菜を買っているところですね。そして左下ですが、こ

れは住民の皆さんの希望にあった、食事と喫茶のサロンです。ここでは、サザコーヒーが

私たちの本拠地ですので、飲ませてもいいよと言ってもらいまして、大変人気になってお

ります。 透しないでですね、今まで生協のお店だったところが何をはじめたのという感じで、なか

なか市民生活に受け入れられませんでした。それで私どもは、 法人というのはこう

いうことをするんですよと、市民の支援がないとやっていけないんですよということを皆

さんに知らせつつ、共感を得つつ、参加していただいて事業を進めようということで、と

にかく知らせようと言うことで、これだけは発刊以来一度も休まず、一番新しいもので

号になります。

では日頃の様子を写真でご紹介したいと思います。ここに出てますのは、当館の方たち

と、みんなこんな形でやっていこうね、というテーマです。食べること、そして触れ合っ

て、支えあって、みんなで生きがいを持って、みんなで元気で暮らせる町をつくりましょ

うね、ということではじまった事業でございます。

それでなぜオープンしたのかということなのですが、先ほどもお話しましたように、私

どもは、 年前にこの住宅団地に入居しました。 歳代で家を持ち、子どもを育てるた

めに住宅団地に入居したわけです。ご存知のようにひたちなか市は、日立製作所や原研関

係の研究所がたくさんありまして、ちょうど高度成長期、私どもが働き盛りの頃は、ひた

ちなか市にはこういう大規模な住宅団地が造成されていました。私どもが住んでます本郷

台団地、東中根団地と言いますのは、本当に設備も整って、様々な生活に関連する機能も

そろっていまして、あこがれの住宅団地だったわけです。しかもそこに生協の店がありま

した。今は生協の店は普通になりましたけど、その頃は茨城でも 、 番目に古い、県の

生協運動に大きく貢献した店です。そのスーパーが最後まで残っていたのですが、ついに

赤字で閉店せざるを得なくなりました。 年前のことです。私は今 になりますが、そ

の困った人の年代だったわけです。もう遠くまで歩けませんし、車に乗れなければ買い物

に行けません。近くに昭和通りという、大きなシンボルになる道路があるのですが、そこ

にもスーパーはあります。ひたちなかはスーパーの激戦地ですから、スーパーはいっぱい

ありますし、車に乗れれば行けます。だけどすぐに、ほとんどは買い物難民になったわけ

なんですよね。食べ物が買えないということは生きていけないということなんですね。子

どもに近くにいるから一週間にいっぺん買い物にしているという方はもちろんいますけど、

ほとんどの方は子どもが県の内外に流出してしまって近所に住んでいません。近所のお店

というのは、ただ買い物を買うだけではなくて、これは生協の店が閉店になって強く感じ

たことなんですが、近所の人に会う場がなくなるんですよね。そこで買い物に行って、誰

かと立ち話して、元気だったのとか、情報交換をしていたわけですけど、それも大きな声

として上がってきたんですね。もちろん、ここで生活していくことに対する不安や孤独感

を非常に問題視しました。それで、生協は 年もお世話になった店を簡単に閉めようと

思っていたのですが、これは無視できないということになりまして、 法人にして、

住民の代表と生協とをどういう風に地域のために生かしたらいいのかという検討委員会を

早速立ち上げたんですね。私がどうして携わったのかと言いますと、たまたま生協の店舗

担当理事を仰せつかっておりまして、そのこともありまして、自然と生協と地域とのつな

ぎ役になりました。

生協の中でボランティアメンバーになっていた方が、私を含めて 人くらいいたまし

た。生協は地域活動としてボランティアを必ずやります。お店の中で、試食活動とか、産

直活動か、青空市などを手伝っていたメンバーがいたもので心強かったのですが、生協は

当然ながら 法人にすることには関わりませんでした。そこで素人の私どもが、じゃ

あどのようにしてこの大きな建坪 ~ 坪で売り場面積 坪を生かしていくかとい

うことで、住民にアンケートをとりました。そしたら断然、食べ物を売ってくれというの

(10)

その次ですが、これは館内の商品案内です。お米、醤油、乾物、それから雑貨、靴など

も揃えてあります。靴屋さんは、靴屋さんがなくなって困ったという声がありまして、そ

れではじまりました。それから先ほどもお話した福祉作業所ですが、これは通路の一番い

い場所をとって、いま事業所の商品を販売してもらっています。

次の写真ですが、中の部屋を、お醤油やお菓子などが乗っかっているスーパーの商品棚

で簡単に仕切っております。これしかなかったものですから。仕切ってこんな風に、つど

いのコーナーというところをつくっていますが、学習会や編集会、会議をやったりしてい

ます。他には市民講座の場所にも使っております。それからゆっくりコーナーと言います

のは、子供さんを遊ばせる場所がないという声を元にしまして、いつでも開放してお母さ

んが子どもを連れてきて、自分たちがおしゃべりしたり好きなことをやったり、お食事し

た り する 場所 を つく ろう と いう こと で つく りま し た。 いま 小 学生 だけ で はな く中 学 生 も

時々来たり、高校生がちょっと来たりということで、非常にいい場所になっています。そ

して下の左側ですが、ベニヤ板を張っただけのところですけど、色んな展示、「なかよし」

の市民講座の発表の場、それから様々な芸術活動してらっしゃる地域の方々、写真家や作

家、能面の製作者の方もいらっしゃいますが、そうした方々の展示を、一週間千円でお貸

ししています。写真は字手紙の発表の様子です。次にレンタルボックスですが、やはり食

べ物を買いに来ると言ってもスーパーとは違いますから、本当に用事がすぐ終わってしま

います。でもやはり長い時間、せっかく来た「なかよし」ですから、ここで掘り出し物を

見つけたり、あるいは自分の手作り品を売ったりということで、いま80%くらい稼動して

います。

そしていま私たちが一番重点においています、健康で長生きしようという活動です。こ

れが健康体操で、茨城県の指定しているシルバーリハビリ体操ですが、週5回行っていま

す。年間1,900人活動していますが、どんどん増えています。狭い場所ですけど、座った

ままやりますので、大変喜ばれています。いま指導士が来ておりまして、また指導士の養

成教室にもなっているみたいですね。それからこれは健康相談ということで、地域にはリ

タイアされました介護士さん、看護師さんなどもたくさんいらっしゃいます。この方は自

分から申し出て、「私は仕事を辞めました。なんか地域のために役立つことがあったらやり

ます」ということで、血圧測定とか血糖値測定とか、簡単な相談でとっても喜ばれており

ます。それから介護保険の学習会を開いておりまして、このように随時ですね、地域に役

立つことを提案して、皆で聞いてみようということで、年寄り相談センターから来て説明

を受けているところです。こちらの写真は仲良しマージャン教室で、全員が 90 歳近いの

ですが、ここではじめてお友だちになって、自分たちで好きなことを毎週やろうというこ

とで、月6回やっているのですが、それでも足りないと言っています。とても仲良しグル

ープで、いきいきと競争心を持って、誰さんが勝った負けたと言い合っていますが、年を

とってもこういう風に生きたいという見本ですね。

それで次に、ふれあいと生きがいづくりということで、趣味活動が 37 グループありま

して、これはごく一部ですが、コーラスや地域散策で、80人くらいメンバーがいます。こ

の地域散策は、私どもだけでは仕切ることはできませんので、この中のメンバーで幹事会

をつくりまして、そして保険にも入って完全に準備をして一緒に歩いています。今は新し

い会員の募集はしていないようです。次に太極拳のほうは、ニーズがこれより倍ぐらいに

なりまして、集会所のほうを使っています。それから書道の教室は、地元のなかよしのす

ぐ近くの先生で、3 クラス持っています。普通書道教室といえば、今更半紙やるんですか

という感じなのですが、この先生は非常に特徴をもっていらして、自分のやりたいことを

(11)

ンで名前を書きたいという人は筆ペンを習っています。もちろん半紙もやっています。こ

れからやる書道ですから、必要なこと以外はやらないでいいですといったような、とても

融通が利く講師が多いと思います。

次に「ふれあいと生きがいづくり②」に移りまして、左上の写真は歌声喫茶です。非常

に人気で、月に 2 回開催しています。これも歌うだけではなく伴奏者が必要なのですが、

アコーディオンやギターで伴奏してくれる人がいまして、2 人の方の協力で楽しく歌って

います。その下のカラオケを楽しむ会ですが、昼間からカラオケはいくらなんでもという

ことで、夜にアルコール持込可で開催しています。「なかよし」はアルコールを販売できま

せんので、持ち込んで自分の責任で持ち帰るようにしてもらっています。それからこれは

高齢者向けの食事会ですが、毎月1回、一人暮らしや介護をしている方々が、せめてこの

日は手作りの料理を食べて楽しくおしゃべりしたり、カラオケをしたりしようねというこ

とで開催しています。その下の写真ですが、森林ボランティアの活動をしています。多良

崎城址公園というひたちなか市では非常に貴重な森がありまして、この日はふれあいの食

事会のメンバーを、森のお食事会に連れていこうということで行っています。以上のこと

を自由に組み合わせまして、こんなことをやりたいということを実現しています。

その他にも、私たちは季節の伝統行事を大切にする活動を、次の代に受け継いで生きた

いということで行っています。小正月の餅つきやまゆ玉作りは、だいたい 40 人くらい集

まります。小学生以下が無料で、それ以外の方は300円いただいて食べ放題です。節分の

豆まきや夏祭りなども開催しています。夏祭りなどは、毎年非常に多くの方が狭いところ

に来て下さいまして、公園なども使用しまして、前夜祭を含めて訳 500 人が集まります。

盆踊りをぜひ再現したいということで、公園のところで 30 年振りに、設備はささやかで

はございますが、250人くらい集まりました。今年は準備した段階で雨に降られまして、

残念ながら中止になりました。それからコンサート・ショーというものを、年間5、6回開

催しています。写真の方は筑西市の親善大使の方で、お笑いショーを行っています。それ

から音楽グループを呼んだり、「なかよし」のグループの発表会を開催したりしています。

子育て支援につきましては、当初から重点を置いていた活動です。市のほうから職員が

来ていただいて、子育ての講習会を行っています。そして、子育て支援チームが行ってい

る重点事業として、お母さんが都合の悪い時に子どもを臨時に預かる事業を行っています。

それから昨年から子どもサロンというのがはじまりました。これは、たくさんいる高齢者、

特に男性の方は、「なかよし」で誘ってもなかなか出てこないんですよね。70代、80代の

男性の方は、ほとんどが囲碁、将棋、こま回しから全部出来ますので、これはもったいな

いと感じていました。今の子供たちがスマホとかゲームとかに熱中しているのを見ますと、

余計なお世話かもしれませんが、私たちおばあさんの立場になるととっても心配になるん

ですね。やはりこの昔からの遊びを、なんとか伝承していきたいということで始まりまし

た。この奥のほうでは将棋で、手前のほうでは折り紙です。女性の方が2人サポーターに

なっています。こちらも今、囲碁をやっているところですね。他にも木登りなんかも教え

たということですが、このように色んな昔の遊びや外での体験を教えて、これから心身と

もに健康な子どもたちの安全な居場所を提供しています。

あと子どもの貧困の問題もあります。こういう平穏な高齢化する一戸建ての住宅地にも、

食べられない子どもがいたということを発見しまして、今どうやって子どもたちに食べさ

せるような仕組みをつくるかということを検討中です。「なかよし」にきた時には、腹が減

ったらいつでもご飯があるから言ってね、ということを子どもたちに伝えてあります。こ

れは特定の子どもさんです。ただし条件があって、この子どもさんたちもボランティアを

してもらっています。何でも困れば施すのがいいことかと言えば、やはりそれは違います。

その次ですが、これは館内の商品案内です。お米、醤油、乾物、それから雑貨、靴など

も揃えてあります。靴屋さんは、靴屋さんがなくなって困ったという声がありまして、そ

れではじまりました。それから先ほどもお話した福祉作業所ですが、これは通路の一番い

い場所をとって、いま事業所の商品を販売してもらっています。

次の写真ですが、中の部屋を、お醤油やお菓子などが乗っかっているスーパーの商品棚

で簡単に仕切っております。これしかなかったものですから。仕切ってこんな風に、つど

いのコーナーというところをつくっていますが、学習会や編集会、会議をやったりしてい

ます。他には市民講座の場所にも使っております。それからゆっくりコーナーと言います

のは、子供さんを遊ばせる場所がないという声を元にしまして、いつでも開放してお母さ

んが子どもを連れてきて、自分たちがおしゃべりしたり好きなことをやったり、お食事し

た り する 場所 を つく ろう と いう こと で つく りま し た。 いま 小 学生 だけ で はな く中 学 生 も

時々来たり、高校生がちょっと来たりということで、非常にいい場所になっています。そ

して下の左側ですが、ベニヤ板を張っただけのところですけど、色んな展示、「なかよし」

の市民講座の発表の場、それから様々な芸術活動してらっしゃる地域の方々、写真家や作

家、能面の製作者の方もいらっしゃいますが、そうした方々の展示を、一週間千円でお貸

ししています。写真は字手紙の発表の様子です。次にレンタルボックスですが、やはり食

べ物を買いに来ると言ってもスーパーとは違いますから、本当に用事がすぐ終わってしま

います。でもやはり長い時間、せっかく来た「なかよし」ですから、ここで掘り出し物を

見つけたり、あるいは自分の手作り品を売ったりということで、いま %くらい稼動して

います。

そしていま私たちが一番重点においています、健康で長生きしようという活動です。こ

れが健康体操で、茨城県の指定しているシルバーリハビリ体操ですが、週 回行っていま

す。年間 人活動していますが、どんどん増えています。狭い場所ですけど、座った

ままやりますので、大変喜ばれています。いま指導士が来ておりまして、また指導士の養

成教室にもなっているみたいですね。それからこれは健康相談ということで、地域にはリ

タイアされました介護士さん、看護師さんなどもたくさんいらっしゃいます。この方は自

分から申し出て、「私は仕事を辞めました。なんか地域のために役立つことがあったらやり

ます」ということで、血圧測定とか血糖値測定とか、簡単な相談でとっても喜ばれており

ます。それから介護保険の学習会を開いておりまして、このように随時ですね、地域に役

立つことを提案して、皆で聞いてみようということで、年寄り相談センターから来て説明

を受けているところです。こちらの写真は仲良しマージャン教室で、全員が 歳近いの

ですが、ここではじめてお友だちになって、自分たちで好きなことを毎週やろうというこ

とで、月 回やっているのですが、それでも足りないと言っています。とても仲良しグル

ープで、いきいきと競争心を持って、誰さんが勝った負けたと言い合っていますが、年を

とってもこういう風に生きたいという見本ですね。

それで次に、ふれあいと生きがいづくりということで、趣味活動が グループありま

して、これはごく一部ですが、コーラスや地域散策で、 人くらいメンバーがいます。こ

の地域散策は、私どもだけでは仕切ることはできませんので、この中のメンバーで幹事会

をつくりまして、そして保険にも入って完全に準備をして一緒に歩いています。今は新し

い会員の募集はしていないようです。次に太極拳のほうは、ニーズがこれより倍ぐらいに

なりまして、集会所のほうを使っています。それから書道の教室は、地元のなかよしのす

ぐ近くの先生で、 クラス持っています。普通書道教室といえば、今更半紙やるんですか

という感じなのですが、この先生は非常に特徴をもっていらして、自分のやりたいことを

(12)

しかし、とりあえず腹が減っているんだから子どもに食べさせて、それからお手伝いをお

願いして「いいよ」と言ってもらっているのですが、そういう関係性でお2人のお子さん

を見守っているところです。いつもお酒を飲んでいるお母さんという環境の中で子どもが

育っている家庭がありまして、もちろん生活保護や障害者福祉が対応すべきなのですが、

やはり私どもが信じられないような環境の中で子どもが育つということがどういうことか、

子供が地域で育つ、地域の宝といわれますけど、その中で「なかよし」が安全な居場所で

あり、どんなことでも相談できる人が世の中にはいるということで、今一生懸命取り組ん

でおります。

高齢化の中で重点的にはじまったのが、生活サポート事業です。上の左の写真ですが、

高齢者が手押し車で来るわけです。それで、体の悪いところはとか、困ったことはないで

すかとか、通常の立ち話のなかでご相談を受けています。そのなかで、認知症の方を4,5

人発見しました。民生委員さんに早速相談しまして、早く発見してよかったということで

喜ばれました。他にもお弁当の配達とか、一人で外出できないという方への自家用車で外

出介助を、会員同士の助け合いという範囲内で行っています。そしてこれはお茶っこサロ

ンということで始まった重点事業ですが、老老介護ということばを皆さんもご存知かと思

いますが、やはり自分も年をとっていますから非常に大変なことになるんですよね。なん

とか一人で頑張ることをしない、みんなで支えあう、あるいは行政などのいい知恵をいた

だいて、皆で支えてもらって長く続ける方法を考えていこうとではじまりました。月1回、

行政の方などを呼んで、勉強会や情報交流などを行って、今一生懸命進めているところで

す。

生活サポートにつきましては、どのくらい利用している人が多いかというと、まだまだ

元気な人が多いのですが、3年ぐらい前にですね、本当に高齢者しかいない住宅地ですか

ら、アンケートで「皆さん自力で生活できますか」という項目を一つ入れたんですね。も

ちろん私も該当者なのですが、そうしますと、自分で自力で生活することは困難だという

人が80%にものぼりました。このアンケートからも既に4年経っていますから、もう困っ

ている人が新たに出てきました。助けてほしい、弁当を配達してほしい、重いものが動か

せないから来てほしい、買い物につれてってほしいという要望が出てきました。行政ある

いは専門的な施設との連繋をしながら、なんとか地域の窓口になろうとしています。在宅

ケアシステムの中で、小地域ケア会議なんかにもメンバーとして参加しておりまして、な

んとか地域の中で、色んな情報の発信の場所になればいいと思っています。

次に「地域産業支援と交流」に移りまして、本日のニュースにもございますように、市

民交流市というのを一番大きな事業として開催しています。市民と生産者と事業者さんと

の交流の場です。自分はこういう思いで野菜をつくって、こういう方法で食べたほうがお

いしくて、という形で生産者の思いと市民とが地元のものを利用することで地域産業が発

展していくことを目指しています。特に安全性という点では、地域の中で生産しないと大

変なことになりますので、おいしい試食品なんかを揃えてやっております。この時に、福

祉作業所の出店をしてもらっています。そしてみなさんが、たまご屋さんもクッキー屋さ

んもそうですし、那珂湊焼きそばを支援している作業所さんも、一生懸命実演即売をして

います。私たち健常者と、世の中には障害を持つ方もこれだけおられて、そして「なかよ

し」は緩やかな商売の場として、どんな方でも来て一生懸命やってくださいという姿勢を

とっています。「焼きそば今日売れなかったでしょう、ごめんなさい」と言いますと、「塚

越さん、いいんです。大きな目的は就労支援です、体験ですから」と言われるわけです。

私たちは焼きそばが売れなくて悪かったなと思うんですが、大きな就労支援の場なんです

(13)

産業支援のところで、私どもの大きな事業を助けてくれているのが干しいもでございます。

ひたちなか市、東海村などは干しいもの産地ですので、12月に入りましたら北海道から沖

縄まで、「なかよし」に発送の仕事が入ります。それからシラスは大洗が名産地ですが、シ

ラスせんべいとか、にんべいちさんなど、こういう方とも少ない金額ではありますが、一

生懸命地域産業支援をして、元気にやって生きたいと思っています。

それから、5年8ヶ月前になりますか、東日本大震災の時に、当館は非常に丈夫な建物

だったので、周りの地域の1割は住めない家になってしまったのですが、被害を受けるこ

とがなく、食糧や水の供給を行うことができました。そのことから私たちは学びまして、

休憩所やトイレを解放し、広報車、発電機、扇風機、野外炊飯などができるような設備を

用意しております。私どものところは、直の生産者とつながっておりますから、電話さえ

つながれば野菜をどんどん入れてくれます。それから魚の干物なども、個人の商店が加工

所とつながっておりましたから、冷蔵庫がだめになっちゃうから早く持っていってもらい

たいということで、夜 10 時まで懐中電灯で営業して、皆さん喜んで買っていったという

ことがありました。こういう経験を持ちましたので、私たちは地域で役立てようという設

備を設けています。

次に働いているボランティアにつきまして、左上の写真はレジで、年間4,000万円近い

お金がここで扱われております。間違っては大変な仕事ですので、高齢者対応で、つり銭

の間違いのないようにしています。本人も一生懸命やって、今ではほとんど間違いがない

ようになりました。それから右と左下の写真はお惣菜チームの様子です。こういう方たち

の中には、様々な中高年の方が働いておりまして、大家族の中でお嫁さんも働いておりま

すし、ご自身が難病を抱えておられる方、ご主人を亡くされてしまっている方もいます。

そういう方々が力を合わせて、それぞれの人柄を認め合って、その方の特徴あるいは特技

を生かせるように働いているのが「なかよし」でございます。

その他に、今日はどのような方が「なかよし」に関わっておられるのか、というのがテ

ーマですのでご説明いたします。左上の写真のご夫婦ですが、毎日は来ることができない

けど仕入れぐらいはするよということで、必要に応じて、様々なお魚の材料の仕入れをや

ってくれています。こちらは月曜日に入っているボランティアさんなんですけど、掃除専

門で働いています。やはり女性が中心の職場ですので、高いところの掃除とか、大規模な

掃除とか、ダンボールの片付けとかの雑用をお願いしています。それから手打ちそばの日

と書いてあるのですが、プロのお蕎麦屋さんが来て、お蕎麦を食べさせてくれる日です。

このように、地域では「なかよし」でお蕎麦食べたいけど手打ちの蕎麦は無理だよねとい

う高齢者の声があって、じゃあ私休みの日にいきましょうということで始まったものです。

また、たまには抹茶もいいよねということで、抹茶の日も作りました。お茶の先生は、最

近は生徒が来ないということで(笑)、ご協力いただいております。これは夏祭りで、焼き

いかとか焼きそばとかの店を開いています。右の写真はお月見会です。お月見の時に、鈴

虫を育てている方が岩間にいるのですが、偕楽園に 12 年にわたって放しているそうで、

その方もいらっしゃいまして、鈴虫を聞きながらお月見をするという会も行っています。

それからメンバーがどのような活動をしているかということですが、例えばハロウィンの

イベントやコンサート会場の設営など、男手が必要な時に男性に参加してもらっています。

その他にも地域の方々を様々に引っ張り出しておりまして、この方は有名なサザコーヒ

ーの会長の鈴木さんですが、もしコーヒーを「なかよし」でやるんだったらということで

教えに来ていただきまして、世界の様々な食の問題で講演をいただいているところです。

また市のほうでは国際交流がありまして、外国人が多いという要望もあり、そこから発展

して外国人向けのコーナーもつくっております。そして大人だけではなくて子どもの趣味 しかし、とりあえず腹が減っているんだから子どもに食べさせて、それからお手伝いをお

願いして「いいよ」と言ってもらっているのですが、そういう関係性でお 人のお子さん

を見守っているところです。いつもお酒を飲んでいるお母さんという環境の中で子どもが

育っている家庭がありまして、もちろん生活保護や障害者福祉が対応すべきなのですが、

やはり私どもが信じられないような環境の中で子どもが育つということがどういうことか、

子供が地域で育つ、地域の宝といわれますけど、その中で「なかよし」が安全な居場所で

あり、どんなことでも相談できる人が世の中にはいるということで、今一生懸命取り組ん

でおります。

高齢化の中で重点的にはじまったのが、生活サポート事業です。上の左の写真ですが、

高齢者が手押し車で来るわけです。それで、体の悪いところはとか、困ったことはないで

すかとか、通常の立ち話のなかでご相談を受けています。そのなかで、認知症の方を ,

人発見しました。民生委員さんに早速相談しまして、早く発見してよかったということで

喜ばれました。他にもお弁当の配達とか、一人で外出できないという方への自家用車で外

出介助を、会員同士の助け合いという範囲内で行っています。そしてこれはお茶っこサロ

ンということで始まった重点事業ですが、老老介護ということばを皆さんもご存知かと思

いますが、やはり自分も年をとっていますから非常に大変なことになるんですよね。なん

とか一人で頑張ることをしない、みんなで支えあう、あるいは行政などのいい知恵をいた

だいて、皆で支えてもらって長く続ける方法を考えていこうとではじまりました。月 回、

行政の方などを呼んで、勉強会や情報交流などを行って、今一生懸命進めているところで

す。

生活サポートにつきましては、どのくらい利用している人が多いかというと、まだまだ

元気な人が多いのですが、3年ぐらい前にですね、本当に高齢者しかいない住宅地ですか

ら、アンケートで「皆さん自力で生活できますか」という項目を一つ入れたんですね。も

ちろん私も該当者なのですが、そうしますと、自分で自力で生活することは困難だという

人が %にものぼりました。このアンケートからも既に 年経っていますから、もう困っ

ている人が新たに出てきました。助けてほしい、弁当を配達してほしい、重いものが動か

せないから来てほしい、買い物につれてってほしいという要望が出てきました。行政ある

いは専門的な施設との連繋をしながら、なんとか地域の窓口になろうとしています。在宅

ケアシステムの中で、小地域ケア会議なんかにもメンバーとして参加しておりまして、な

んとか地域の中で、色んな情報の発信の場所になればいいと思っています。

次に「地域産業支援と交流」に移りまして、本日のニュースにもございますように、市

民交流市というのを一番大きな事業として開催しています。市民と生産者と事業者さんと

の交流の場です。自分はこういう思いで野菜をつくって、こういう方法で食べたほうがお

いしくて、という形で生産者の思いと市民とが地元のものを利用することで地域産業が発

展していくことを目指しています。特に安全性という点では、地域の中で生産しないと大

変なことになりますので、おいしい試食品なんかを揃えてやっております。この時に、福

祉作業所の出店をしてもらっています。そしてみなさんが、たまご屋さんもクッキー屋さ

んもそうですし、那珂湊焼きそばを支援している作業所さんも、一生懸命実演即売をして

います。私たち健常者と、世の中には障害を持つ方もこれだけおられて、そして「なかよ

し」は緩やかな商売の場として、どんな方でも来て一生懸命やってくださいという姿勢を

とっています。「焼きそば今日売れなかったでしょう、ごめんなさい」と言いますと、「塚

越さん、いいんです。大きな目的は就労支援です、体験ですから」と言われるわけです。

私たちは焼きそばが売れなくて悪かったなと思うんですが、大きな就労支援の場なんです

表 1  戦後日本の社会基盤の変容とまちづくり年表

参照

関連したドキュメント

それは,教育工学センターはこれで打切りで ございますけれども,名前を代えて,「○○開

関西学院大学手話言語研究センターの研究員をしております松岡と申します。よろ

【 大学共 同研究 】 【個人特 別研究 】 【受託 研究】 【学 外共同 研究】 【寄 付研究 】.

学側からより、たくさんの情報 提供してほしいなあと感じて います。講議 まま に関して、うるさ すぎる学生、講議 まま

関西学院大学社会学部は、1960 年にそれまでの文学部社会学科、社会事業学科が文学部 から独立して創設された。2009 年は創設 50

社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課

この度は特定非営利活動法人 Cloud JAPAN の初年度事業報告書をお読みくださり、ありがと うございます。私たち Cloud

報告は、都内の事業場(病院の場合は病院、自然科学研究所の場合は研究所、血液